2026年4月22日、僕は左足首の靭帯を損傷しました。
レントゲンとMRIを撮って、骨に異常はないものの、外くるぶし側と内くるぶし側に出血が見られる、という診断でした。
最短で6週間でギプス固定になりました。
このブログは、その怪我の翌日から「Lab(研究室)」として始めたものです。
動けない時間を、自分の身体と向き合う時間に変えてみる。
毎日の症状・食事・エクササイズ・気持ちを記録してきました。
なぜ記録を始めたのか
正直、最初の数日はそれどころではありませんでした。
足をつけない。松葉杖でしか動けない。配膳も、トイレに行くのも、シャワーも、全部いつもの倍以上の時間がかかる。
「動けないって、こんなに不便なんだな」と、当たり前のことを当たり前に感じていた数日間でした。
ただ、ある瞬間にスイッチが入りました。
この時間にしかできないことを、何かやろう!!
舞台に出ている時には絶対に取れない時間が、目の前にある。
普段やりたかったのに後回しにしていたこと、整理したかった考え、靭帯にいい食材を調べて取り入れること。
何より、「身体を動かせない時間に、身体について考える」というのは、ダンサーにとって意外と貴重な機会かもしれない。
そう思って、Day 2(怪我から2日目)から記録を始めました。
このブログを開設したのも、その流れの中です。
Day 2(4/23):何もできない不便さ
ギプスをしている状態。足をつくと痛く、特に外くるぶしの靭帯が内側より痛めているため、足首が内に向くと痛む。
腫れの状態はギプスで覆われていて見えないけど、足先だけは見えていて、明らかに左の方が腫れていました。

この日にやったこと
これだけ。
調べてみると、ビタミンC・コラーゲン・ポリフェノール・オメガ3が炎症と修復に効くらしい。
靭帯にいいものを取り入れていこう、と意識して食事を組み立て始めました。
詳しい食事記録は記事の最後にまとめています。
この日の感想は、シンプルにこれです。
食事の配膳や、移動、松葉杖を使い移動するのが大変。足を使えないのは不便。
「不便」という感覚を、こんなに強く感じたのは初めてかもしれません。
Day 3〜4(4/24〜4/25):できることを探す
Day 3、痛みは10段階で5〜6まで下がりました。
昨日よりちょっと足首を動かせるようになって、ほんの少しだけ足をつけるようになりました。
このタイミングで、「下半身が使えなくても、できることはたくさんある」ことに気づき始めます。
Day 3のエクササイズ
体幹と背骨周り、上半身の動きで、できることが意外とある。
「左足を使うエクササイズはできない、けど体幹とストレッチはできる」——その視点に切り替えた瞬間、急に視界が開けた感じがしました。

Day 4には、かかとから着くなら松葉杖なしでもちょっと歩けるようになります。とはいえまだ歩くのはしんどいので、松葉杖をついて公園まで散歩に行きました。
これが思っていたより大変で、松葉杖でずっと歩くのは、肩や腕がすごく疲れる。
普段使わない筋肉ばかり使うので、翌日以降ジワジワと別のところが痛くなる感じでした。
それでも、ついでに公園の鉄棒で懸垂を20回。
せっかく外に出たんだから、できることをやって帰ろう、という気持ちで。
この時期に大事だったこと
人と人のつながりが、こういう時にありがたく感じます。
Day 5〜6(4/26〜4/27):リハビリへの意欲が出てくる

Day 5、痛みは4〜5/10まで下がり、つま先の曲げ伸ばしがちょっとできるようになりました。
この頃から、エクササイズメニューが少しずつ充実してきます。
Day 5のエクササイズ
上肢トレ
上肢を鍛えるのは、パートナリングや女性のリフトのため。
それから、復帰した時に体幹や全体の筋力が落ちていないようにしておきたい、という理由でした。
下半身が動かせない期間こそ、戻ってきた時のためにできることをやっておく。
「動けないなり」の準備期間です。
そして、Day 5の感想にこう書いていました。
ちょっとずつ可動域が広がってきているから早くギブスを取りたい。
リハビリをし出したい気持ちがでてきている。
「早く動かしたい」——これは、ダンサーとしては自然な感情だと思います。けれど同時に、焦りすぎる気持ちを抑える必要もある。
動かしすぎて再受傷するのが、一番避けたいシナリオでした。
Day 7(4/28):ギプスを外した日

そして、受傷から1週間。整形外科でギプスを外してもらう日が来ました。
ギプスを外した瞬間、目に飛び込んできたのは——思っていたよりも腫れている左足でした。多少は引いていましたが、足先のむくみがMAX。
押すと跡がつくぐらいのむくみ(圧痕浮腫というそうです)。

これは、ギプスで固定されている間の循環不足で起きる、よくあることだそうです。
「動かして循環を戻していけば引いていく」という説明を受けて、少し安心しました。
この日初めて受けた治療
ギプスから伸縮包帯へ

ギプスは外れ、代わりにテーピングになりました。
「完全固定」から「動きを残した固定」へ。
これは医療的にも、修復期から機能回復期への移行を意味するそうです。
この日のエクササイズ
メニューが一気にバレエ寄りに変わりました。
特にダウンドッグtoパラレルアチチュードは、足首に荷重をかけずに股関節屈曲位でのアチチュード感覚を維持できるエクササイズ。
「動けないなりに、バレエの感覚を錆びさせない」という意味で、これを見つけられたのは大きな発見でした。
1週間で見えてきたこと
7日間を振り返って、いくつか気づいたことがあります。
これが一番大きかった発見です。下半身が使えない=何もできない、ではない。
体幹、上肢、呼吸、感覚——むしろ普段見落としている部分に向き合える時間でした。
タンパク質、コラーゲン、抗炎症食材を意識して摂り続けた1週間。
痛みの引き方や腫れの経過が、自分の感覚としてはっきり違う気がしました。
「食事も治療の一部」という意識が、これからは強くなりそうです。
「早く動かしたい」と「動かしすぎない」のバランス。
プロのダンサーほど、ここを誤りやすいと聞きます。
今回はPOLICE原則に沿って、「できることはやる、できないことはやらない」を徹底できたのが良かったです。
毎日同じフォーマットで症状・食事・エクササイズを記録する。
これだけで、昨日と今日の違いを客観的に見られる。
「腫れが引いていない気がする」という主観的な不安も、写真で見比べると意外と改善している、ということが何度もありました。
Day 1〜7 食事記録
意識していたのは、靭帯の修復に効くと言われる栄養素を毎日入れること。
7日間の実際の食事内容です。
Day 2(4/23)
Day 3(4/24)
Day 4(4/25)
Day 5(4/26)
Day 7(4/28)
これからのこと
Day 7にしてようやく、機能回復期の入り口に立ちました。ここから先は、
- 治療(ハイボルト+超音波)の継続
- 段階的な荷重と歩行
- バレエの基本ポジション(2番、ルルベ、プリエ)に戻るまで
- 最終的なバーレッスン復帰
——という道のりが続きます。
医師には「最短で6週間」と言われましたが、それより早く復帰できるように、今できることをやっていくつもりです。
下半身が動かせない時間も、上半身を鍛えたり、食事を整えたり、考え事をしたり。
やれることは全部やる。
樋口 祐輝
東京バレエ団 ソリスト
Yuki Higuchi Lab


コメント
私もお正月明け早々左手首を骨折して、私の場合はギプス固定6週間でした。食事メニューがほぼ同じ感じで靭帯も骨も同じ感じなのだなと参考になりました
私もギプスを外したあと浮腫んだ手にショックを受けたものです。
できることにフォーカスする前向きな姿勢が勉強になりました(3ヶ月経った今でもちょっと痛いので時々弱気になります)
お早いご回復お祈りします